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January 15, 2011

1/15 "Ideology as Taro Okamoto" by Norio Akasaka page 61

しかしよく考えてみると、世界人であると同時に、またわれわれは日本人であり、この日常の環境こそ、なんとしても切実であり絶対的です。世界的であるということは、けっしてこの現実の土台から足が浮いてしまうことではありません。それどころか、この身ぢかな世界に徹底し、現実そのものをつねに新しく創造していかないかぎり、われわれは絶対に世界的な仕事はできないものです。

日常の環境はなんといっても限られていますし、特殊性があって、とかく世界的にものを見、作ることをさまたげていることは事実です。この特定な泥の上にある閉ざされた世界と、ひらかれた世界的な世界は、かえっておたがいに対立する反対物でさえあるのです。ちょうど電気の陰と陽の関係と見てもよいでしょう。しかし、その矛盾のうえに立ち、両極を同時につかみ取るのでなければ、これからのほんとうの芸術はなりたちません。

「今日の芸術」岡本太郎


by izukuranaoto | 2011-01-15 22:51